顧客名簿を持って転職された——「営業秘密」として守れる条件
2026-03-21
5秒でわかる結論
顧客名簿の持ち出しに民事・刑事で対抗できるのは「営業秘密」の3要件を満たすときだけ。カギは秘密管理性——平時の管理がすべてです。
退職者が顧客名簿や見積資料をコピーして新しい会社で使う——日本では民事・刑事の両面で責任を問い得ます。ただし前提は、その名簿が法律上の「営業秘密」であることです。
営業秘密の3要件(不正競争防止法2条6項)
- 秘密管理性:「機密」表示、アクセス権限の制限、施錠保管など、従業員が秘密だと客観的に認識できる管理。
- 有用性:事業活動に有用な技術上・営業上の情報。
- 非公知性:公然と知られていないこと。
実務で最もつまずくのは秘密管理性です。誰でも閲覧・印刷できる名簿は営業秘密とは認められません。
侵害が成立する場合
- 民事:差止請求(不競法3条)、損害賠償(4条・損害額の推定規定あり)。
- 刑事:営業秘密侵害罪(不競法21条)。不正取得・使用・開示は最高で10年以下の拘禁刑・2000万円以下の罰金(併科あり)。名簿持ち出しの刑事立件例は珍しくありません。
平時の管理がすべて
- 機密表示とアクセス権限の最小化。
- 入社時・プロジェクト参加時・退職時の秘密保持誓約書。
- 退職時はアカウント停止・貸与機器回収・私用メールへの転送記録の確認。
- 持ち出し発覚時は証拠保全(ログ)→警告書→差止め・刑事告訴の検討、の順で。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-21)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。