解雇通知書の書き方と交付方法——この一枚が訴訟の攻防範囲を決める
解雇通知書の必記4項目:解雇日・解雇の種類・就業規則の根拠条項・具体的理由。懲戒解雇では処分時に認識しなかった事由の事後追加は原則不可(山口観光事件・最一小判平成8年9月26日労判708号31頁)。交付は手渡し+受領記録、不出社なら内容証明+配達証明(民法97条1項)。解雇理由証明書は労基法22条。
解雇通知書は単なるお知らせではありません。将来の訴訟で会社が主張できる解雇理由の範囲を事実上画するものです。この一枚を書くときは、準備書面の第一頁を書いているのと同じです。
必記4項目
- ①解雇日:30日後の日付(予告解雇)または即日(予告手当を支払う即時解雇・労基法20条)。
- ②解雇の種類:普通解雇か懲戒解雇か。種類により審査枠組みも退職金の扱いも異なり、曖昧にすることは許されません。
- ③就業規則の根拠条項:第何条第何号か。条項引用のない解雇通知は手続面でそれだけで減点です。
- ④具体的な解雇理由:事実経過を簡潔に、しかし漏れなく記載します。
理由はどこまで書くか——「漏れなく」が鉄則
訴訟で通知書に書かなかった解雇理由を追加主張すると、裁判所は「本当に解雇時の理由だったのか」と信用性を疑います。特に懲戒解雇では、処分時に認識していなかった事由を事後的に追加することは原則できません(山口観光事件・最一小判平成8年9月26日労判708号31頁)。解雇前に主張し得るすべての事由を整理し終えることが、通知書作成の前提作業です。
交付方法
- 原則は手渡し+受領署名。拒否されたら交付経過を記録すれば足ります。
- 本人が出社しない場合は内容証明郵便+配達証明で住居宛てに送付。解雇は意思表示であり到達して初めて効力を生じるため(民法97条1項)、到達の証拠を確保します。
- 行方不明の場合は公示送達が必要です(当サイト「社員が音信不通」の記事参照)。
解雇理由証明書
本人から請求があれば、会社は解雇理由を記載した証明書を遅滞なく交付する義務があります(労基法22条)。交付拒否はそれ自体が労基法違反であり、その後の紛争でも心証を悪くします。証明書の理由記載は通知書と整合させてください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-09-23)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。