うつ病休職中の従業員がSNSに遊びの投稿——懲戒できるか
2025-11-11
5秒でわかる結論
うつ病休職中のバイク・飲酒・旅行も懲戒事由にならない——マガジンハウス事件。境界線は「主治医の指導に反するか」。SNSを見て即懲戒は高リスク。
うつ病で休職中の従業員。そのSNSにバイクでの外出、飲酒、旅行の写真が——「仮病では?懲戒だ」と怒る前に、実際の判決を知っておいてください。
マガジンハウス事件(東京地判平成20年3月10日)
出版社の従業員がうつ病で休職(休職中も賃金全額支給)。会社は、休職中のバイク外出、ゲームセンター、場外馬券の購入、飲酒、宿泊旅行等を把握し、療養専念義務違反等を理由に懲戒解雇しました。
東京地裁の判断は多くの経営者の予想に反するものでした。
- うつ病の療養は臥床を意味しない。健常人と同様の日常生活上の行動は、むしろ療養に資する可能性がある。
- これらの行動により病状が悪化したことの立証もない。
- よってバイク・ゲームセンター・飲酒・旅行は懲戒事由に該当しない。
他方で、主治医の指導に反する抗議活動等については懲戒事由該当性を認めました。境界線はここにあります。
経営者が知っておくべきポイント
- 「休職中=自宅で安静」は誤解:特に精神疾患では、外出・運動・社会的活動が治療の一環であることも多い。
- SNSを見て即懲戒は高リスク:懲戒無効+損害賠償請求に発展し得ます。
- 正しい初動は事実確認:行動の内容・頻度と、主治医の指導に反しているか。本人の同意を得て主治医の意見を確認する方法があります。
- 制度面の予防:就業規則に療養専念・定期報告の定めを置き、休職開始時に休職中の義務を書面で説明する。
なお、休職中のSNS投稿を内容を問わず一律に禁止することは、法的には難しいと考えられます。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-11-11)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。