昼休みに電話番——それは休憩ではなく労働時間です
待機中・仮眠中でも対応義務があれば労働時間(三菱重工長崎造船所事件・大星ビル管理事件)。運送・警備・ビル管理業の手待時間の扱いと未払残業代リスク。
「昼休みは交代で電話番」「ドライバーの荷待ちの空き時間」「ビル管理員の夜間仮眠」——これらに賃金は必要か。日本法の答えは多くの場合「必要」です。
最高裁の基準——指揮命令下にあるか
三菱重工長崎造船所事件(最一小判平成12年3月9日民集54巻3号801頁)は、労働時間該当性は労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかにより客観的に定まり、契約や就業規則の定めに左右されないとしました。「契約上は休憩」と書いても決め手になりません。
手待時間=労働時間
実作業はないが対応を求められればすぐ動く待機状態——電話番の昼休み、来客対応の留守番、荷待ち——は、労働からの解放が保障されていない以上、指揮命令下にあり労働時間です。
休憩時間(労基法34条)は自由利用が保障されなければなりません。「食事はしていいが電話は取れ」の昼休みは休憩ではなく、その1時間は労働時間。しかも休憩を与えていないことになり34条違反も成立します。
仮眠時間も労働時間になり得る
大星ビル管理事件(最一小判平成14年2月28日民集56巻2号361頁)は、ビル管理員の夜間仮眠時間について、警報時に直ちに対応する義務がある以上、仮眠時間全体が労働時間に当たるとしました。「実際にはほとんど起こされない」は免責理由になりません。
実務の対策
- 電話番を置くなら、当番者に別途完全な休憩を与えるか、当番時間を労働時間として扱う。
- 待機の多い職種(運転手・設備管理)は労働時間記録で実態を可視化する。
- 夜間仮眠に対応義務があるなら労働時間前提で賃金設計を(断続的労働の労基署許可等の制度も検討)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-11)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。