病歴・健康情報のプライバシー——無断HIV検査・内定取消しの裁判例
2025-08-05
5秒でわかる結論
病歴・健康情報のプライバシーを解説。要配慮個人情報(個人情報保護法2条3項)としての保護、無断HIV検査+内定取消しを違法とした千葉地判平成12年6月12日労判785号10頁、無断B型肝炎検査の東京地判平成15年6月20日労判854号5頁、採用時・就業中に聞いてよい範囲、産業医・人事の情報共有の限界、慰謝料請求まで。
病歴・検査結果は要配慮個人情報(個人情報保護法2条3項)として最高度の保護を受けます。
法的枠組み
- 取得には原則本人同意が必要で、第三者提供の例外は厳格です。使用者には健康管理のための一定の取扱権限がありますが、目的外利用・無限定の共有は違法です(雇用管理分野の指針)。
裁判例:無断検査は明確に違法
- 無断のHIV抗体検査+内定取消しを違法とし慰謝料を認めた例(千葉地判平成12年6月12日労判785号10頁)。
- 採用選考時の無断B型肝炎検査をプライバシー侵害とした例(東京地判平成15年6月20日労判854号5頁)。
- 職務遂行能力と無関係な感染症を理由とする内定取消し・解雇は原則無効で、検査自体が不法行為となる方向が確立しています。
聞いてよいこと・いけないこと
- 採用時は職務遂行に直接関係する健康確認に限られます。就業中の健診結果の共有も就業上の措置に必要な範囲に限られ、産業医から人事への情報提供は加工(就業可否・配慮事項の形)が原則です。
- 精神科通院歴等も要配慮個人情報です。他方、労働者が秘匿した事情については安全配慮義務の範囲も縮小し得る双方向の関係にあります。
侵害されたら
- 慰謝料請求(民法709条・710条)、個人情報保護委員会への申告、内定取消し・解雇の無効主張が武器になります。検査同意書の有無と漏えい経路の特定が立証の核です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-08-05)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。