「遅刻1回罰金5,000円」は違法——減給の制裁の上限(労基法91条)
2025-06-28
5秒でわかる結論
「遅刻1回罰金5,000円」のような減給制裁の上限(労基法91条。1回の額が平均賃金の半日分以内・総額が賃金総額の10分の1以内)を解説。遅刻分の賃金カットとの区別まで。
「遅刻1回で罰金5,000円」「打刻忘れは1,000円」——「罰金箱」に入れさせる制度は、日本の労基法の下ではほとんど違法です。境界線は91条にあります。
まず区別:欠勤控除と制裁
- 遅刻30分→30分相当の賃金を控除:ノーワーク・ノーペイの欠勤控除——制裁ではなく適法です(91条の制限の外)。
- 遅刻30分→罰金5,000円・半日分カット:実際の不就労分を超える控除=減給の制裁——91条の制限に服します。
減給の制裁の二重の上限(労基法91条)
- 1回の事由につき:平均賃金1日分の半額以内——日給1万円の人なら、1回の遅刻への制裁は5,000円が上限です(平均賃金は労基法12条で計算し、手取りより低めに出ます)。
- 総額:一賃金支払期(通常1か月)の賃金総額の10分の1以内——何回遅刻しても、月給25万円なら月の減給合計は2.5万円まで。超えた分を翌月に回すこともできません。
さらに、就業規則に制裁の種類・事由の明記(89条9号)と周知が前提です。規定のない「罰金」は全額違法です。
グレーな手法の検証
- 皆勤手当の不支給:遅刻で皆勤手当(支給要件:無遅刻無欠勤)が消えるのは、支給要件該当性の問題で制裁ではなく適法です。ただし手当額が大きく事実上の罰金と化している場合は公序の問題になり得ます。
- 罰金箱・飲み会代の負担・「反省の品」の購入強要:賃金からの天引きなら24条違反も併発し、現金で徴収しても賠償予定の禁止(16条)・パワハラの問題です。応じる義務はありません。
- 賞与査定での反映:遅刻を考課要素とするのは裁量の範囲——ただし同一事由で減給制裁+大幅な賞与減額は二重制裁的で、相当性を争えます。
取り戻す手順
①就業規則の制裁規定の有無を確認、②自分の平均賃金を計算して上限超過分を特定、③書面で返還請求、④労基署へ申告(91条違反は30万円以下の罰金・120条)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-06-28)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。