正社員にはあって契約社員にはない——同一労働同一賃金で違法になる待遇差
2025-07-16
5秒でわかる結論
正社員と契約社員・パートの待遇差はパート有期法8条で項目ごとに審査。通勤手当・皆勤手当の差は違法方向(ハマキョウレックス事件)、退職金・賞与は事案次第(メトロコマース事件等)。
「契約社員には通勤手当も賞与もない」——こうした待遇差はパート・有期雇用労働法8条(不合理な待遇差の禁止)の規制を受けます。違法かどうかは、待遇項目ごとにその性質・目的に照らして個別に判断されます。
最高裁の判断例
- ハマキョウレックス事件(最二小判平成30年6月1日民集72巻2号88頁):運送ドライバーの正社員・契約社員間で、無事故手当・作業手当・給食手当・通勤手当・皆勤手当の差を不合理で違法と判断。これらの手当の趣旨(安全・食費・通勤費・皆勤奨励)は雇用形態と無関係だからです。
- メトロコマース事件(最三小判令和2年10月13日民集74巻7号1901頁):売店業務従事者への退職金不支給は、職務内容・人材活用の仕組みの違い等の事情の下では不合理とまではいえないと判断。
- 大阪医科薬科大学事件(最三小判令和2年10月13日労働判例1229号77頁):アルバイト職員への賞与不支給も同様に不合理とまではいえないと判断。
整理すると、職務内容との連動が弱い生活関連・実費補償型の手当の差が最も危険で、退職金・賞与など長期雇用を前提とする項目は事案次第で許容余地があります。ただし職務実態が同一なら退職金・賞与でもリスクは残ります。
経営者の対策
- 正社員・非正規の待遇一覧表を作り、項目ごとに「差の理由」を言語化する。理由が書けない項目が火種です。
- 非正規従業員から求められた場合、待遇差の内容・理由の説明義務があります(同法14条2項)。説明できない状態自体が敗訴リスク。
- 通勤手当・出張日当・食堂利用などは優先的に統一を。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-07-16)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。