賞与支給日に在籍していないともらえない——支給日在籍要件
2025-10-03
5秒でわかる結論
賞与の「支給日在籍要件」は最高裁が有効と判断(大和銀行事件・最判昭57.10.7)。査定期間を満了しても支給日前に退職するともらえない。退職のタイミングと規定の書き方。
「6月末に退職し、7月10日が夏季賞与の支給日。査定対象期間はすべて勤務したのだから賞与はもらえるはず」——日本ではもらえない可能性が高いのが答えです。鍵は就業規則・賞与規程の「支給日在籍要件」です。
最高裁は支給日在籍要件を有効と判断
大和銀行事件(最一小判昭和57年10月7日労働判例399号11頁)は、「支給日に在籍する者に支給する」との賞与規定について、就業規則上明確で労働契約の内容になっている以上有効とし、査定期間満了後・支給日前に退職した従業員の賞与請求を認めませんでした。賞与が過去の労働の対価だけでなく、将来の勤続への期待といった性格を併せ持つことが背景にあります。
労働者側:退職のタイミングは賞与規程を見てから
- 就業規則・賞与規程に在籍要件があるか、支給日がいつかをまず確認する。
- 退職届の提出前に日程を計算する——1日の差が賞与全額の差になります。
- 自己都合退職ではなく解雇の場合や、会社が支給日を恣意的に遅らせた場合は、権利濫用として別途の判断があり得ます。
経営者側:規定の明文化が前提
- 在籍要件は就業規則・賞与規程に明文で定める。口頭の慣例では足りません。
- 「賞与は業績等を勘案して支給し、支給しないことがある」という裁量条項を置く——これがないと、長年の支給実績が確定的な労働条件と評価されるリスクがあります。
- 整理解雇など会社都合退職者を除外するかどうかは、紛争予防のため事前に設計しておくべきです。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-10-03)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。