日本の会社に退職金の支払義務はあるか——退職金制度の法律
2025-05-22
5秒でわかる結論
退職金制度は法律上の義務ではない。ただし制度を設ければ退職金は賃金となり、不払いは違法。時効は5年。確認方法と中退共の仕組み。
「日本の会社には必ず退職金があるのか」——答えは、法律上の義務はないです。退職金制度を設けるかどうかは各社の自由です。ただし「制度があるのに払わない」のは別問題です。
原則:制度を設けるかは自由
民間企業に退職金制度を強制する法律はありません。労基法89条3号の2が定めるのは、退職金制度を設ける場合には、適用範囲・計算方法・支払方法・支払時期を就業規則に記載しなければならない、ということです(相対的必要記載事項)。
制度を設けたら退職金=賃金
就業規則・退職金規程で支給基準が定められれば、退職金は労基法11条の「賃金」であり、従業員に法的な請求権が発生します。
- 不払いは賃金未払いとして労働審判・訴訟の対象。
- 退職金請求権の消滅時効は5年(労基法115条。通常の賃金は当分の間3年ですが退職金は5年)。
- 「経営が苦しいから払えない」は原則として理由になりません。
確認方法
- 就業規則・退職金規程を確認(常時10人以上の事業場は作成義務あり。労働者がいつでも確認できる状態での周知義務——労基法106条)。
- 労働条件通知書——退職手当の有無は明示事項です(労基則5条)。
- 中小企業では中退共(中小企業退職金共済)加入が多く、退職時は中退共から従業員本人へ直接支払われます。
経営者の注意点
規程が不完備でも、長年の支給実績が労使慣行として支払義務を基礎づけることがあります。また、既存の退職金制度の廃止・減額は労働条件の不利益変更であり、合理性が必要です(労働契約法9条・10条)。規程を書き換えれば済む話ではありません。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-05-22)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。