ダブルワークの残業代は誰が払う?——副業の労働時間「通算」ルール
2025-05-26
5秒でわかる結論
別の会社での労働時間は通算されます(労基法38条1項)。後から契約した会社が通算8時間超の割増賃金を負担するのが原則で、「うちは4時間だけだから残業なし」は誤解。管理モデルや複数業務要因災害の労災も解説。
昼はA社で8時間、夜はB飲食店で3時間——B社での3時間は全部残業扱いになることをご存じですか。
労働時間の通算原則
労基法38条1項は「労働時間は事業場を異にする場合においても通算する」と定め、行政解釈上、異なる雇用主間にも適用されます。A社で8時間働いた後にB社で3時間働けば、その日は既に法定8時間を超えており、B社の3時間にはすべて125%の割増が必要です。
割増は誰が払うのか
- 原則:時間的に後に発生した労働の雇用主が割増を負担——通常は後から契約した・後の時間帯に働く会社です。
- だからアルバイト面接で「本業は何時間ですか」と聞かれるのは意地悪ではありません——B社は通算の基準を知らないと法律を守れないのです。本業の時間数を隠すと、後の紛争で労働者側にも不利に働きます。
- 厚労省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は簡便な「管理モデル」を示しています:双方が事前に時間の上限を設定し、各自が自分の超過分の割増を払う方式です。
労災:両方の賃金を合算
2020年改正により、複数事業労働者の労災給付は両方の賃金を合算した給付基礎日額で計算されます(労災保険法7条1項2号・複数業務要因災害)。片方だけでは過労の認定基準に達しなくても、両方の負荷を総合評価して認定され得ます。B社でけがをしても給付はA+Bの賃金ベース——ダブルワークの外国人には非常に重要なポイントです。
そのほかの注意
- 会社は副業を禁止できるか:就業規則での一律禁止は、裁判例上効力が限定されます——競業・情報漏えい・労務提供への支障など合理的な範囲に限られます(当サイト「副業が会社にばれた」の記事参照)。
- 雇用保険:原則として主たる一方でのみ加入(65歳以上には合算の特例あり)。
- 留学生のアルバイト:資格外活動の週28時間はすべての仕事の合計です——2つのバイトで各20時間なら超過となり、在留更新で重大な問題になります。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-05-26)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。