従業員の源泉所得税、会社の納付は1日遅れでもペナルティ——不納付加算税と「納期の特例」
2025-08-24
5秒でわかる結論
源泉徴収は会社の義務(所得税法183条)で、徴収した税は翌月10日までに納付。1日でも遅れると不納付加算税10%(自主納付なら5%)+延滞税。従業員10人未満なら「納期の特例」で年2回払いにできる(所得税法216条)。非居住者・海外への支払いにも源泉義務がある。
「従業員の所得税はちゃんと給与から引いている」——引いただけでは始まりにすぎません。預かった税金は原則翌月10日までに国に納付する必要があり、遅れれば罰則、しかもこの罰則は情け容赦がないことで有名です。
基本:会社は「源泉徴収義務者」
- 給与を支払う者(会社・個人事業主)には源泉徴収義務があります(所得税法6条・183条)。対象は給与だけではありません:税理士・弁護士などの報酬、デザイン料・原稿料など(204条)も源泉が必要です。
- 納付期限は支払月の翌月10日です(ネットバンキング・e-Taxで納付できます)。
遅れたときの罰:不納付加算税
- 期限後の納付→不納付加算税10%、税務署から指摘される前の自主納付→5%(国税通則法67条)+延滞税です。
- 重要な点:原則1日遅れでも課されます。救済は「正当な理由」か「過去1年遅延なし+1か月以内の納付」による免除(67条1項ただし書・国税通則法施行令27条の2)——一度きりのセーフティネットです。賭けてはいけません。
- 資金繰りが苦しくても源泉税の流用だけは絶対にしないこと:従業員のお金の預かり分です。悪質な不納付には刑事罰があります(所得税法240条:10年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金)。
小さい会社の味方:納期の特例
- 給与の支給人員が常時10人未満なら、税務署に「源泉所得税の納期の特例」を申請すると、給与・税理士報酬などの源泉税を年2回の半年払いにできます(1〜6月分は7月10日・7〜12月分は翌年1月20日——所得税法216条・217条)。
- 注意:特例の対象は給与と士業報酬などで、デザイン料・原稿料など204条報酬の一部は特例の対象外です(翌月10日のまま)。適用は申請月の翌月支払分からです。
漏れやすい源泉:非居住者・海外がらみ
- 非居住者への支払:帰国した従業員への最終給与・退職金(退職金の記事参照)、台湾の法人・個人への使用料・人的役務の報酬などの多くは20.42%の源泉が必要です(所得税法212条)。日台間には民間租税取決め(租税条約相当)がありますが、減免は事前の届出書の提出があって初めて適用されます——事後の自動救済はありません。
- 源泉漏れで追徴されるのは会社です(所得税法221条)。帰国済みの本人への求償は現実にはほぼ不可能です。渉外の支払の前に源泉の要否を確認することが、一番安い保険です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-08-24)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。