賃貸借の連帯保証人——「極度額」の記載がなければ保証は無効
2025-06-30
5秒でわかる結論
2020年民法改正後、個人の連帯保証には極度額の定めが必須。記載がなければ保証は無効で、滞納賃料を1円も請求できません。契約書の確認を。
借主が半年分滞納し、部屋もひどい状態。連帯保証人に請求しようと契約書を開くと、保証条項に上限額の記載がない——この場合、保証が丸ごと無効になり得ます。
2020年民法改正の重要変更
賃貸借の保証は、将来発生する不特定の債務(滞納賃料・損害賠償等)を担保する「根保証」です。2020年4月施行の民法改正により、個人が締結する根保証契約には「極度額」(保証人の責任の上限額)の定めが必須となり、極度額の定めのない個人根保証契約は効力を生じません(民法465条の2)。
つまり2020年4月以降に締結した賃貸借契約で、連帯保証人が個人(借主の親族・知人等)なのに「保証極度額○円」の記載がなければ、滞納賃料を1円も保証人に請求できません。保証会社等の法人保証には極度額は不要です(保証契約の書面要件は個人・法人とも必要)。
極度額の決め方
- 金額は当事者の合意によります。実務では賃料の12〜24か月分程度の水準がよく見られます(国土交通省が、裁判で保証人が実際に負担した額の統計を整理した「極度額に関する参考資料」を公表しています)。
- 低すぎれば担保の意味が薄れ、高すぎれば保証人のなり手がいなくなる。滞納・原状回復・明渡訴訟期間中の賃料相当損害金等の合計リスクから考えます。
注意点
- 2020年4月前の既存契約:原則旧法が適用されます(極度額不要)。ただしその後に保証契約を締結し直した場合は新法が適用され、更新時の扱いは個別に確認が必要です。
- 元本確定:保証人や借主の死亡等の場合、保証の対象はその時点で確定し、以後の滞納は保証の範囲外です(民法465条の4)。
- 古い契約書ひな形:改正前のひな形がまだ流通しています。新規契約では極度額条項の有無を必ず確認してください。
手元の賃貸借契約書の保証条項を一度確認することをおすすめします。新規契約では保証会社の併用も有力です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-06-30)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。