手術後に容体が悪化、医療ミスでは——カルテ開示請求と医療事故対応の進め方
2025-11-25
5秒でわかる結論
医療ミスを疑ったら、まずカルテの開示請求(個人情報保護法33条・遺族も可)。改ざんが疑われる場合は裁判所の証拠保全(民訴法234条)。医療訴訟の難しさ(過失・因果関係の立証)と、医療事故調査制度・ADR・示談という現実的な解決、時効(人身5年)を解説。
家族が手術後に急変して死亡、説明は曖昧——「病院を訴える」前に、順序を間違えるとすべてを失います。第一歩は常に証拠です。
第一歩:カルテ開示請求
- 患者本人(死亡時は遺族)は診療記録(カルテ・看護記録・検査画像・手術記録・麻酔記録)の開示請求権を持ちます:個人情報保護法33条+厚労省「診療情報の提供等に関する指針」(遺族への開示も指針に明記)。
- 方法:病院の窓口へ書面で申請(本人確認・続柄の証明)。費用はコピー実費など。拒否できるのは例外事由(第三者の権利利益を害する等)のみ——「調査中だから」は拒否理由になりません。
- 改ざんのおそれがある場合:開示請求の前に裁判所の証拠保全(民訴法234条)——裁判官・執行官が病院に赴き、カルテをその場で保全します。電子カルテは修正履歴(ログ)ごと確保するのが実務です。弁護士に依頼すべき場面です。
医療過失の立証という山
- 請求構成:診療契約の債務不履行(民法415条)または不法行為(709条)——いずれも①過失(当時の医療水準からの逸脱)②因果関係③損害の立証責任は患者側にあります。
- 「結果が悪い=過失」ではありません——医療には不確実性があり、説明義務違反(十分な説明なく侵襲行為を行った)という別の構成も重要です(最三小判平成13年11月27日民集55巻6号1154頁〔乳房温存療法事件〕:説明義務違反の慰謝料を認容)。
- 協力医(意見書を書く他院の専門医)の確保が勝敗を分けます——医療専門の弁護士経由で探すのが現実的です。
- 時効:人身損害は知った時から5年(民法724条の2・167条)。
訴訟以外の選択肢
- 説明交渉:遺族説明会の開催要求——病院側の誠実な対応(院内事故調査)を引き出します。
- 医療事故調査制度:死亡・死産で「予期しなかった」事案は、病院に院内調査+医療事故調査・支援センターへの報告義務があります(医療法6条の10以下)——遺族からセンターへ調査を依頼することも可能です。
- 医療ADR(弁護士会の医療紛争あっせん):非公開・柔軟・低費用。
- 示談:病院側の保険(医師賠償責任保険)からの支払い——過失が明らかな事案は訴訟前に解決することも多いのです。
- 外国人患者の遺族(台湾在住)も請求できます——委任状・相続証明(台湾の戸籍)の準備は当サイトの国際相続の記事を参照してください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-11-25)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。