入院で100万円かかったら——「高額療養費」で自己負担には上限がある
2026-03-23
5秒でわかる結論
1か月の医療費自己負担には所得別の上限があり超過分は戻る(健康保険法115条)。年収370〜770万円層は約8万円+α。マイナ保険証・限度額適用認定証なら窓口払いが上限で済む。世帯合算・多数回該当・月またぎの注意も。
突然の入院・手術で、請求書に自己負担30万円——慌てないでください。日本の公的医療保険には高額療養費制度があり、1か月の自己負担には上限があって、超えた分は払い戻されます(健康保険法115条、国民健康保険法57条の2)。日本で働き・暮らし、健康保険に入っている外国人には当然適用されます。
上限額(70歳未満・月額)
- 所得区分によります。最も多い層(年収約370〜770万円)は80,100円+(医療費−267,000円)×1%——例えば医療費100万円(3割負担30万円)の月なら自己負担上限は約87,430円で、残り約21万円が戻ります。
- 年収約370万円以下は57,600円、住民税非課税世帯は35,400円。高所得層は上限が上がります。
- 注意:2026年8月から自己負担上限額は段階的に引き上げられます(例:年収約370〜770万円の層は80,100円→85,800円)——実際の金額は受診時点の最新基準で確認してください。
2つの受け方
- ①事後の払戻申請:いったん3割を払い、後から健保組合・協会けんぽ・市区町村に申請すると約3か月後に払い戻されます。時効は診療月の翌月から2年です(健康保険法193条)。
- ②事前に上限額だけ払う:マイナ保険証(医療機関で情報提供に同意)か、事前に限度額適用認定証を取得すれば、窓口での支払は上限額までで済みます——入院前にこれを済ませておくと資金繰りが全く違います。
見落としやすい上乗せ
- 世帯合算:同じ保険に入っている家族の同月の自己負担は合算できます(各21,000円以上の分)。
- 多数回該当:直近12か月で4回目からは上限がさらに下がります(上記中間層は44,400円に)。
- 「月の1日〜末日」で計算される点に注意:月をまたぐ入院は2つの月で別計算となり、どちらも上限に届かないことがあります——手術日を調整できる場合は意識する価値があります。
- 対象外の費用:差額ベッド代(個室代)・自由診療・入院時の食事代の一部は対象になりません。
それでも払えない場合には、高額療養費の貸付制度や、傷病手当金(業務外の傷病で休業したとき、日額の3分の2・最長1年6か月——健康保険法99条)があります。仕事が原因の傷病なら労災保険です(自己負担ゼロ)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-23)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。