「会社都合退職」で助成金が消える——離職理由と雇用関係助成金の関係
2026-03-18
5秒でわかる結論
会社都合退職と雇用関係助成金の関係を解説。特定求職者雇用開発助成金・キャリアアップ助成金等の不支給要件(一定期間内の事業主都合離職)、労働者側の特定受給資格者の扱い、離職票の虚偽記載が不正受給+罰則となることまで。
「あの人は退職勧奨で辞めてもらおう」——ちょっと待ってください。雇用関係の助成金を申請中・申請予定の会社では、一つの「会社都合離職」で数百万円の助成金が消えることがあります。
離職理由の二つの効果
離職票の離職理由(事業主都合/自己都合)は二つのことに影響します。
- 労働者側:会社都合=特定受給資格者。失業給付に給付制限期間がなく、所定給付日数も長くなります。
- 会社側:多くの雇用関係助成金が「一定期間内に事業主都合で離職させていないこと」を支給要件としています。
影響を受ける助成金(代表例)
- 特定求職者雇用開発助成金:雇入れ前後6か月以内に事業主都合の解雇等による離職者がいると不支給。
- キャリアアップ助成金(正社員化コース):転換前後6か月以内の事業主都合離職が支給に影響。
- 雇用調整助成金など:要件は各制度で異なるため、申請前に支給要領の「不支給要件」を必ず確認。
「事業主都合離職」は解雇だけではありません。退職勧奨に応じた退職・大量の雇止めなども含まれます(離職理由コード3系)。
絶対にしてはいけないこと
助成金を守るため、実際は退職勧奨による離職なのに離職票に「自己都合」と記載する——これは不正受給です。助成金の全額返還+違約金・公表に加え、雇用保険法上の虚偽届出には罰則(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)があります。労働者本人がハローワークに異議を申し出て離職理由が訂正される例も多くあります。
実務の判断手順
- 受給中・申請予定の助成金の一覧と各不支給要件を整理。
- 当該従業員の離職の形(解雇/勧奨/合意退職/自己都合)と時期を要件に当てはめて影響を判断。
- 影響が大きい場合は、離職時期の調整を検討するか、助成金の損失を受け入れて対応する——「自己都合に偽装」は選択肢ではありません。
- 離職票の離職理由はありのまま記載。本人の署名確認欄の運用も誠実に。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-18)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。