従業員が逮捕・起訴されたら——即時解雇は危険
2025-09-25
5秒でわかる結論
従業員が逮捕されても即解雇は危険——逮捕≠有罪。起訴後の起訴休職も、職務遂行への支障や信用毀損がある場合に限って有効(全日本空輸事件・東京地判平11.2.15)。
「従業員が逮捕された、ニュースにもなった、即刻解雇だ」——お待ちください。日本では逮捕≠有罪であり、反射的な解雇は後で覆されるリスクが高いのです。
逮捕段階:まず動かない
- 逮捕は捜査の入口にすぎず、不起訴で終わる事件も相当数あります。不起訴後に解雇無効を争われるリスクは重大です。
- 先にすべきこと:①事実確認(本人・弁護人・家族との連絡)②欠勤の処理(身柄拘束中は労務提供不能→原則無給欠勤)③情報管理(確定前に「犯罪者だ」と社内外に広めると名誉毀損リスク)。
起訴後:起訴休職制度
多くの就業規則には「刑事事件で起訴された者は休職を命ずることがある」との定めがあります。ただし裁判所は起訴休職を限定解釈しています。全日本空輸事件(東京地判平成11年2月15日労働判例760号46頁)は、起訴された事実により職務遂行に支障が生じるか、企業の対外的信用・職場秩序が害される場合に限って有効とし、さらに想定される懲戒処分と休職の不利益が著しく不均衡でないことも要求しました。
つまり、業務と無関係な軽微な私生活上の犯罪について「起訴されたら一律休職」は無効になり得ます。起訴休職中は原則無給ですが、その長期化自体も審査の対象です。
懲戒処分の可否
- 私生活上の犯罪は原則として懲戒の対象外。例外は会社の信用・秩序への具体的影響がある場合(報道で社名が結び付く、職務の性質と犯罪類型が関連する等)です。
- 有罪確定前の懲戒解雇は、非違行為の立証責任が会社にあり、本人否認の事案では特に危険。
- 就業規則の「有罪判決確定時」条項と「起訴された時」条項は適用場面を区別して運用します。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-09-25)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。