労災保険給付と民事賠償の調整——もらった分はどう引かれるか
2026-01-09
5秒でわかる結論
労災保険給付と民事賠償の調整を解説。労災に慰謝料はなく民事賠償と二本立てであること、同一事由の給付の損益相殺的調整(充当順序は最三小判平成27年3月4日民集69巻2号178頁)、特別支給金は控除されないこと(最二小判平成8年2月23日民集50巻2号249頁)、慰謝料・物損は調整対象外、労基法84条の免責、和解条項での清算設計まで。
労災保険給付を受けても会社への損害賠償請求は可能です。労災には慰謝料がなく休業も全額ではないため、安全配慮義務違反(労契法5条)等に基づく民事賠償が残りを填補します。
調整のルール
- 支給済み・支給確定の労災給付は、同一の事由(対応する損害項目)の範囲で損益相殺的に控除されます(休業給付↔休業損害、障害給付↔逸失利益。元本と遅延損害金への充当順序は最三小判平成27年3月4日民集69巻2号178頁)。慰謝料・物損は対応がなく控除されません。休業特別支給金等の特別支給金は福祉目的の給付であり控除されません(最二小判平成8年2月23日民集50巻2号249頁)。将来給付は支給が確定した分に限り控除されるのが原則です。
その他の交錯
- 労災給付がされると労基法上の災害補償は免責され(労基法84条1項)、民事賠償も補償相当範囲で免責されます(84条2項類推)。会社側は和解条項で労災給付との調整・清算を明確に書かないと二次紛争の種になります。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-01-09)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。