退職勧奨の面談で使える——「再就職手当」早期転職ほど得になる仕組み
2025-06-08
5秒でわかる結論
再就職手当(雇用保険法56条の3)=残日数3分の1以上で再就職なら残日数×60%(3分の2以上なら70%)×日額の一時金。「早く決まるほど得」の制度は退職勧奨・希望退職の面談で正確に説明すれば合意形成を助ける——ただし断定・誘導は退職合意の取消事由になり得る。要件の落とし穴と説明の一線を会社側視点で解説。
退職勧奨・希望退職募集の面談で、従業員の最大の不安は「辞めた後の生活」です。ここで雇用保険の制度を正確に説明できると、相手の不安を実質的に下げ、合意形成を助けます。特に説明価値が高いのが「再就職手当」——早く再就職するほど多く受け取れる制度です。
仕組み
- 基本手当の支給残日数が3分の1以上ある時点で再就職→残日数×60%×基本手当日額の一時金(残3分の2以上なら70%)(雇用保険法56条の3)。
- 例:所定給付日数90日・残70日・日額6,000円→70日×70%×6,000円=294,000円。
- 「もらい切る前に就職すると損」は誤解で、制度はむしろ早期再就職を促す設計です。
主な要件(説明で落とせない点)
- ①待期7日経過後の就職②1年超の雇用見込み③離職前の会社・関連会社以外④過去3年以内に再就職手当等の受給なし⑤原則雇用保険加入。
- 給付制限がある人は、制限期間の最初の1か月はハローワーク・職業紹介事業者の紹介による就職に限られます——最大の落とし穴。
- 離職前から内定していた就職は対象外です。
- 追加:再就職後6か月以上勤務し賃金が下がった場合の就業促進定着手当(差額6か月分・上限:残日数×40%×日額、70%受給者は30%)。
会社が説明するときの一線
- できること:制度の存在と仕組みの中立・正確な説明(厚労省・ハローワークの資料を渡すのが最も安全)。会社都合離職なら給付制限がなく給付日数も多いという一般的情報の提供。
- できないこと:「必ず○万円もらえる」という断定(要件判定はハローワークの権限)、不正確な説明による退職への誘導——後で発覚すれば、退職合意自体が錯誤・詐欺(民法95条・96条)で争われ、退職勧奨の相当性も否定されかねません。
- 給付制限(2025年4月から自己都合は原則1か月)・離職票の離職理由など、連動する制度もあわせて正確に説明し、「聞いていた話と違う」という事後紛争を防ぎます。
流れ(説明用)
- 就職決定→ハローワークへ報告→就職日翌日から1か月以内に支給申請書(新しい会社の証明欄あり)を提出→在籍確認を経て支給。
- 外国人従業員も同様に適用されます——転職に伴う所属機関変更の届出(入管法19条の16)の案内も添えると紛争予防になります。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-06-08)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。