「試用期間満了で本採用拒否すればよい」は日本では通用しない——試用期間の日台差
台湾は試用期間満了で原則終了可。日本は本採用拒否も解雇の一種で合理的理由が必要(三菱樹脂事件)。有期契約の試用代用も見抜かれます。
台湾では、試用期間満了時に不適格と判断すれば、権利濫用にあたらない限り原則として契約を終了できます。同じ感覚で日本で採用すると、大きなギャップがあります。
台湾の試用期間
台湾の労働基準法に試用の明文はありませんが、実務上試用の約定は有効とされ、期間は3〜6か月が一般的です。試用期間満了時・期間中の不適格を理由とする契約終了は、権利濫用にあたらない限り原則許容されます(資遣費の要否は裁判例が分かれます)。
日本:本採用拒否も「解雇」
最高裁(三菱樹脂事件・昭和48年12月12日大法廷判決)は、試用期間の法的性質を「解約権留保付労働契約」としました。労働契約はすでに成立しており、本採用拒否は留保解約権の行使=解雇の一種です。通常の解雇よりやや広く認められるものの、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要で、「なんとなく合わない」では足りません。
「1年契約を試用代わりに」も見抜かれる
最高裁(神戸弘陵学園事件・平成2年6月5日判決)は、期間設定の真の目的が適性の観察(=試用)であれば、形式上有期契約でも、試用期間付きの無期契約と解され得るとしました。また有期契約の期間途中解雇には「やむを得ない事由」(労契法17条1項)が必要で、通常の解雇よりハードルは高くなります。
実務対応
- 試用期間は3〜6か月で設定し、就業規則に試用期間と延長の可能性を明記。
- 試用期間中こそ密に観察・指導・記録。具体的に問題を指摘し、改善の機会を与え、記録を残す。
- 本採用拒否の理由は具体的に(勤怠不良、具体的な能力不足の事実、指導しても改善なし等)。
- 判断は早く。試用開始14日以内の解雇には解雇予告手当が不要(以後は30日分が必要)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-08-09)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。