倒産手続での未払賃金の優先順位——どの賃金が優先で戻るか、立替払制度の使い方
2025-07-07
5秒でわかる結論
倒産時の未払賃金の優先順位を解説。破産手続での財団債権(破産法149条・破産手続開始前3か月の給料)と優先的破産債権、民法306条2号・308条の先取特権、賃確法7条の立替払制度(8割・年齢別上限)、会社法429条の取締役個人責任まで。
会社が持たない——従業員の賃金はどうなるのか。倒産法制は労働債権を何層にも保護しており、経営者も労働者も順位を知っておくべきです。
破産手続での順位(破産法)
- 財団債権(149条):破産手続開始前3か月間の給料+退職前3か月間の給料総額相当額の退職手当——配当手続を待たず随時弁済されます(最前列のグループ)。
- 優先的破産債権:上記以外の賃金・退職金。雇用関係の債権には一般先取特権(民法306条2号・308条)があり、一般破産債権に優先して配当を受けます。
- 一般破産債権:取引先の売掛金など。労働債権はほぼ常に前に並びます。
未払賃金立替払制度(賃確法7条)
- 会社の倒産(法律上の倒産、または中小企業の事実上の倒産=労基署長の認定)の場合、独立行政法人労働者健康安全機構が未払賃金・退職金の8割を立替払いします。
- 上限:退職日の年齢が45歳以上370万円(8割で296万円)、30〜44歳220万円、30歳未満110万円——未払総額の認定上限です。
- 対象:退職日の6か月前以降の定期賃金と退職手当(賞与は対象外)。退職日から2年以内に請求。
- 機構は立替払後に求償権を取得して破産財団に請求します——労働者は配当を待たずに大半を先に受け取れます。
経営者側の注意
- 偏頗弁済の禁止:倒産直前に特定の債権者だけに支払う行為(親族従業員への「賃金」名目を含む)は破産管財人に否認され得ます(破産法162条)。賃金支払自体は通常問題ありませんが、不自然な増額・駆け込み支払は審査されます。
- 取締役の個人責任:資金破綻を知りながら従業員を働かせ続けて賃金未払を放置した場合、会社法429条(第三者に対する責任)で個人賠償を認めた裁判例があります。休業・解雇の決断を引き延ばさないこと。
- 源泉所得税・社会保険料の滞納には第二次納税義務など経営者個人に波及する制度があります——預り金に手を付けないこと。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-07-07)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。