賞与(ボーナス)はなぜこんなに引かれるのか——源泉税の計算と「残業代に賞与を含めない」理由
2026-06-26
5秒でわかる結論
賞与の源泉税率は「前月の給与」で決まり、社会保険は標準賞与額(健保年573万円・厚生年金月150万円上限)で徴収。手取りは約8割。年末調整で精算されるので払いすぎは戻る。賞与を割増賃金の基礎から除外できる法的根拠も解説。
待ちに待った賞与100万円、振り込まれたのは80万円ほど——「月給より激しく引かれていないか?」。賞与の天引きのルールは月給と異なります。整理します。
源泉所得税:「前月の給与」で税率が決まる
- 賞与の源泉税=賞与(社会保険料控除後)×「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の税率。この税率は前月の給与(社会保険料控除後)と扶養人数で決まります(所得税法186条)。
- だから前月にたまたま残業が多く給与が高いと、賞与の税率も引き上げられます——ただしあくまで概算で、年末調整で精算され、引きすぎは12月に戻ります。「賞与で多く引かれたら損」は誤解です。
社会保険料:標準賞与額
- 健康保険・厚生年金は賞与からも徴収されます(標準賞与額——1,000円未満切捨て)。上限は健保が年度累計573万円、厚生年金が1か月150万円です(健康保険法45条・厚生年金保険法24条の4)。
- 雇用保険料(0.55%)も引かれます。結果として賞与の手取りはおおむね額面の8割弱です。
- 経営者の注意:賞与の支払後5日以内に年金事務所へ賞与支払届の提出が必要です——提出漏れは保険料の納付漏れとなり、後の調査で追徴されます。
労働法上の賞与:月給との3つの違い
- ①残業代の基礎に賞与は含まれない:割増賃金の計算基礎から「臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」は除外できます(労基法37条5項・施行規則21条4号5号)——賞与はこれに当たります。ただし名目が「賞与」でも実質が毎月固定で支払われるものは基礎に算入です(実質判断)。
- ②賞与があるかどうかは契約次第:法律上、賞与の支払義務はありません。就業規則・労働契約に「業績により支給」とある場合、会社に相当の裁量があります(賞与の在籍条項の記事参照——支給日在籍要件は原則有効)。
- ③最低賃金の計算に賞与は含まれません(最低賃金法4条3項)——「月給は低いが賞与が多い」設計で最賃違反は救えません。
外国人従業員のよくある疑問:「賞与も年収に入るのか?」——入ります。ビザ更新・永住・住宅ローン審査の年収は、源泉徴収票の「支払金額」(賞与込み)で見られます。オファーの際は月給だけでなく「月給×12+賞与実績」の総額を確認しましょう。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-06-26)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。