給与明細の見方——額面と手取りの2割の差はどこへ行くのか
2025-12-15
5秒でわかる結論
給与から天引きされるのは源泉所得税(所得税法183条)・社会保険料(健保+厚生年金で約15%)・雇用保険料・住民税の4種類。「扶養控除等申告書」を出さないと高い乙欄税率で徴収される。手取りは額面の75〜80%が目安。明細のチェックポイントを解説。
「月給30万円のはずが、振り込まれたのは24万円?」——会社に騙されたのではなく、日本の天引きの仕組みです。給与明細の各行の意味を説明します。
引かれる4種類
- ①源泉所得税:会社には源泉徴収義務があります(所得税法183条)。金額は「源泉徴収税額表」により月給と扶養人数で機械的に決まり、年末調整で精算されます。
- ②社会保険料(健康保険+厚生年金+介護保険):合計で標準報酬月額の15%弱(本人負担分)——最も大きい控除がこれです。会社も同額を負担します(労使折半)。40歳からは介護保険料が加わります。
- ③雇用保険料:給与総額の0.55%(2025年度・一般の事業の本人負担)。
- ④住民税:来日2年目の6月から始まります(前年所得課税——住民税の記事参照)。
- 結果として手取りはおおむね額面の75〜80%です。労働契約や給与交渉のときは、この換算で考えてください。
外国人が最も踏む落とし穴:「乙欄」
入社時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して初めて、源泉税は安い甲欄で計算されます。提出しないと(又は2か所勤務の副業側は)乙欄になり、税額は数倍になります。月給20万円なら甲欄約5千円・乙欄約2万円という規模の差です。「その紙を出すことを知らなかった」ために1年間乙欄で引かれ続ける外国人は非常に多い——引かれすぎた分は確定申告で取り戻せます(5年以内)。
明細のチェックポイント
- 労働時間・残業代:出勤日数・残業時間は自分の記録と合っているか。割増率(時間外25%・深夜25%・法定休日35%——労基法37条)は正しいか。
- 控除の名目:税・社保・住民税以外の控除(制服代・寮費など)には原則として労使協定が必要です(労基法24条——賃金控除の記事参照)。正体不明の「雑費」は確認を。
- 社会保険料が本当に納付されているか:明細で引かれている=会社が納めている、ではありません。ねんきん定期便やマイナポータルで自分の年金記録を確認できます——天引きだけして納付しない悪質な会社は実在します。
- 明細と源泉徴収票(年末に受領)は保存を:残業代請求・ビザ更新・永住申請・住宅ローン審査の基礎資料です。会社には明細の交付義務があります(所得税法231条)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-12-15)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。