仲介手数料「家賃1か月分」には実はルールがある——宅建業法の上限と取りすぎの取り戻し
2026-01-29
5秒でわかる結論
賃貸の仲介手数料の上限は家賃1か月分+消費税(宅建業法46条・告示)。しかも原則は貸主・借主「各0.5か月」で、借主から1か月分を取るには承諾が必要です(東京地判令元.8.7判タ1471号154頁は無承諾部分の返還請求を認容)。売買は「3%+6万円」の速算式。
賃貸契約の請求書にある「仲介手数料:賃料1か月分+税」——当然のように払っていませんか。法律の原則は0.5か月分だと知っていましたか。
賃貸仲介の上限ルール
- 宅建業者が受け取れる報酬の上限:貸主・借主合計で賃料1か月分+消費税(宅建業法46条・国交省告示)。
- しかも居住用建物は原則それぞれ0.5か月分——一方から0.5か月を超えて受け取るには、その者の承諾が必要です(告示第4)。実務では仲介業者が書かせる申込書に承諾文言が埋め込まれていることが多いのです。
- 東京地判令和元年8月7日(判タ1471号154頁):承諾を得ずに1か月分を受領した仲介業者に超過部分の返還を命じました——控訴審でも維持され、実務で注目された判決です。承諾の時点(媒介契約成立までに)も重要とされました。
売買の速算式
400万円超の物件:(成約価格×3%+6万円)+消費税が上限です(宅建業法46条・告示)。例:5,000万円の物件→156万円+税。低廉な空家等(800万円以下)の特例(2024年改正:最大30万円+税——売主・買主双方に適用可)も確認を。上限はあくまで「上限」——減額交渉自体は自由です。
周辺費用の合法性
- 礼金・敷金・更新料:契約自由の範囲です(更新料は最二小判平成23年7月15日民集65巻5号2269頁が、高額にすぎない限り有効と判断)。
- 「室内消毒費」「安心サポート費」など:仲介報酬とは別名目の実質的な報酬上乗せは告示違反の疑いがあります——任意のサービスなら拒否できます。契約前に「これは必須ですか」と書面で確認を。
- 鍵交換費用:ガイドライン上は貸主負担が妥当とされますが、特約で借主負担も有効とされやすい項目です。
取りすぎへの対応
- 請求書・契約書・承諾文言の有無を確認。
- 仲介業者へ返還請求(内容証明)——上記裁判例を引用します。
- 拒否されたら:宅建業の免許行政庁(都道府県)への申告・少額訴訟(60万円以下)。報酬規制違反は行政処分(指示・業務停止)の対象なので、行政ルートは実効的です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-01-29)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。