「代休を与えたから割増不要」は誤解——振替休日と代休の違い
2026-03-17
5秒でわかる結論
事前に休日を振り替えれば休日労働にならないが、事後の代休では35%の割増が残る。週をまたぐ振替は時間外手当が発生することも。違いと運用ルールを整理。
休日に出勤させて後日1日休ませれば帳消し——日本の労務管理で最も多い誤解の一つです。振替休日と代休は別の制度で、混同すると割増賃金が静かに積み上がります。
振替休日——事前の交換
出勤前に「今度の日曜に出勤し、代わりに水曜を休日とする」と指定して休日と労働日を交換するもの。日曜の労働は休日労働ではなくなり、35%の休日割増は発生しません。
要件:①就業規則上の根拠規定 ②事前(前日まで)の振替日の指定 ③週1日の法定休日の確保(労基法35条)。
落とし穴:振替の結果、その週の労働時間が40時間を超えれば、超過分に25%の時間外割増が必要です。「振替なら完全無料」ではありません。
代休——事後の補償
事前の手続なく休日に出勤させ、事後に休みを与えるもの。休日労働の事実は消えないため、35%の割増部分の支払いが必要です。無給の代休で1.0倍部分は清算できても、0.35倍部分は残ります。法定休日出勤1.35倍−代休1.0倍=0.35倍の未払い。ここを多くの会社が見落とします。
実務設計
- 原則は事前振替で運用し、就業規則に振替条項を明記。
- 振替でも「その週40時間」の上限に注意。
- 代休になった場合は0.35倍(法定休日)・0.25倍(時間外)の差額を当月に支払う。
- 「代休で帳消し」の運用は、労基署調査や退職者からの請求で3年分が一度に顕在化します。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-17)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。