外国人従業員が逮捕された——「連絡が取れない」は無断欠勤ではありません
外国人社員が逮捕された場合の対応を解説。逮捕48時間→送検24時間→勾留10日+延長10日の流れ、当番弁護士制度(1回無料)、推定無罪と安易な解雇の危険、起訴休職制度の活用、有罪確定時の在留への影響(退去強制事由)、家族・入管対応まで。
「3日間出勤せず電話も通じない」——外国人従業員の場合、可能性の一つは逮捕です。ここで会社の初手が「無断欠勤→懲戒解雇」だと、後に会社の敗訴案件になります。
逮捕後に起きること(刑訴法のタイムライン)。逮捕→48時間以内に送検→検察官が24時間以内に勾留請求を判断→勾留10日+延長最長10日=起訴前最長23日の身体拘束。勾留中の外部連絡は制限され(接見禁止が付けば家族とも会えません)、「連絡が取れない」のは構造的なもので本人の怠慢ではありません。当番弁護士は逮捕後1回無料で派遣され(各弁護士会)、外国人事案では通訳付き接見があります。
会社対応の順序。①無断欠勤として処理しない:連続欠勤の懲戒や自然退職条項の機械的適用は、後に逮捕(しかも不起訴・無罪)と判明したとき全て覆ります。まず緊急連絡先(家族等)に連絡して状況確認を。②事実確認のルートは家族・本人が委任した弁護士経由。会社が警察に直接聞いても捜査情報は原則教えてもらえません。③推定無罪の堅持:逮捕報道≠有罪です。起訴前・判決確定前の懲戒解雇は高リスク——私生活上の犯罪と解雇について判例は厳格に審査します(職務関連性・企業秩序への影響・報道の有無等の総合判断)。業務上横領など職務直結の事案は別論です。④安全な中間解:欠勤処理(無給)、就業規則に定めがあれば起訴休職。起訴休職も在宅起訴で就労可能な場合は争われ得るため運用は慎重に。⑤有罪確定後:判決内容(実刑・罰金・執行猶予)と在留資格への影響(一定の有罪判決は退去強制事由・入管法24条)を踏まえて最終判断を。退去強制となれば雇用は事実上終了します。
平時の準備。緊急連絡先・母国家族の連絡先を雇用時に把握。当番弁護士制度を全員に周知(入社時研修の1枚:「逮捕されたら当番弁護士を呼ぶ・署名する前に弁護士に相談」)——痴漢冤罪等から本人を守る知識は会社も守ります。実名報道時の取引先・社内説明の想定問答も用意し、推定無罪の立場を崩さないことです。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-07-02)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。