被害届と告訴の違い——警察が受理してくれないときの対処法
2025-09-09
5秒でわかる結論
被害届は被害事実の申告、告訴は処罰意思の表明を伴う訴訟行為(刑訴法230条)で、告訴なら検察官に処分結果の通知義務が生じます(260条)。警察が受理を渋るときは、犯罪捜査規範63条の受理義務を引き、書面で提出し、検察官への直接提出(241条)も使えます。
盗まれた・騙された・物を故意に壊された——警察署に行くとき、「被害届」と「告訴」は別物です。選び方を誤ると、事件がそのまま放置されることもあります。
被害届
- 捜査機関に「こういう被害があった」と申告する文書で、処罰を求める意思表示は含まれません。
- 警察は捜査の端緒としますが、最後まで捜査する法律上の義務や、結果の通知義務はありません。
- 利点:受理のハードルが低く、手続が簡単。盗難等の保険請求には受理番号が必要になるのが通常です。
告訴
- 捜査機関に犯罪事実を申告し、「犯人を処罰してほしい」という意思を表明する訴訟行為です(刑事訴訟法230条)。書面(告訴状)でも口頭でも可能です(241条)。
- 受理されると、検察官は起訴・不起訴の処分結果を告訴人に通知する義務を負い(260条)、不起訴の場合は請求により理由を告げなければなりません(261条)——事件がうやむやに消えることがなくなります。
- 親告罪(告訴がなければ起訴できない罪):器物損壊罪(刑法261条・264条)・名誉毀損罪(230条・232条)など。告訴期間は原則として犯人を知った日から6か月です(刑訴法235条)——先延ばしは禁物です。
警察が受理してくれないとき
- 犯罪捜査規範63条:司法警察員は告訴・告発について「管轄区域のいかんを問わず、受理しなければならない」——「民事不介入」「証拠不十分」は受理拒否の理由になりません。この条文を引いて受理を求めます。
- 告訴状を書面(犯罪事実・罰条・証拠一覧を記載)にして、配達証明付き郵便で提出する——提出の記録を残します。
- 告訴の宛先は警察に限られません。検察官に直接提出することもできます(刑訴法241条1項)。
- それでも動かないとき:都道府県警察本部の監察室・公安委員会への申出、または弁護士に依頼して代理人名義の告訴状を提出する——弁護士名義の告訴状は受理される可能性が明らかに高まります。
注意:虚偽の申告は犯罪
犯罪事実がないと知りながら、人に刑事処分を受けさせる目的で申告すると、虚偽告訴罪が成立します(刑法172条・3月以上10年以下の拘禁刑)。事実はありのままに書き、評価は捜査機関に委ねてください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-09-09)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。