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退去時の原状回復——「通常損耗」を借主に負担させることはできない

2025-08-13

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5秒でわかる結論

退去時の原状回復——通常損耗は貸主負担が最高裁判例と民法621条の明文。借主に負担させる特約の厳格な要件。大家にも借主にも役立つ整理。

退去時に「壁紙全張替え・床研磨で敷金から20万円控除」——この種の精算は日本法では通らないことが多いのです。大家にも借主にも役立つルールを整理します。

原則——通常損耗・経年変化は貸主負担

借主は損傷の原状回復義務を負いますが、「通常の使用収益によって生じた損耗」と「経年変化」は除かれます——2020年施行の現行民法621条がこれを明文化しました。日焼けによる変色、家具の設置跡、冷蔵庫裏の電気焼けは通常損耗であり、その補修費は賃料に織り込み済みなので借主に請求できません。最高裁も確認した法理です(最判平成17年12月16日判例時報1921号61頁)。

借主負担となるのは故意・過失による損傷——飲みこぼし放置による床の腐食、喫煙による黄ばみ・臭い、ペットの傷など。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に詳細な線引きと経過年数による減価の考え方があります。

特約で原則を変えられるか——要件は厳格

通常損耗を借主負担とする特約(通常損耗補修特約)は、書けば有効というものではありません。上記最判平成17年判決は、借主が負担する通常損耗の範囲が契約書の条項自体に具体的に明記されているか、口頭説明により借主が明確に認識して合意したことを要求しました。「退去時の清掃費・修繕費は借主負担」程度の抽象的条項は、原則の確認と読まれるにとどまります。

大家側の実務

①特約(退去時クリーニング代の定額負担等)を使うなら金額・範囲を具体的に明記+重要事項説明で口頭説明 ②入居時の現況を写真・チェックリストで双方確認(損傷の立証の基礎)③精算は明細と領収書付きで。敷金トラブルは少額訴訟の常連です。

借りる側(台湾の方)へ

入居時に写真を撮る、退去立会いで精算項目をその場で確認する、「全額張替え」等の請求には民法621条と国交省ガイドラインを引いて交渉する。まとまらなければ消費生活センター(188)や法テラスに相談できます。

※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-08-13)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。

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