有休は半日だけ・2時間だけ取れるか——半日有休と時間単位有休の制度の違い
半日単位・時間単位の有休を解説。半日有休は法律上の制度ではなく会社の任意制度、時間単位年休は労使協定が必要で年5日まで(労基法39条4項)、年5日取得義務のカウントとの関係、分単位は不可という点まで。
「午後に区役所へ行きたいから半日だけ」「学校の面談に2時間だけ」——有休はそこまで細かく使えるのでしょうか。「半日」と「時間単位」で答えが全く違います。
半日有休:法律に定めなし=会社の任意設計
労基法39条の年休は原則1日単位です。半日単位の付与は法律上の定めがなく、会社が任意に導入する制度です(労働者の希望+会社の同意による半日付与は差し支えないというのが行政解釈)。したがって:
- 制度がない会社では半日を請求できず、1日単位で取るしかありません。
- 午前/午後の区切り等の設計は就業規則によります。
- 会社側から半日単位を強制することもできません——半日化は労働者の希望が前提です。
時間単位有休:労使協定が必要(39条4項)
時間単位の有休は2010年改正で明文化されました。要件は:
- 書面による労使協定(対象労働者の範囲・日数の上限・1日相当の時間数等)
- 上限は年5日分以内
- 1時間未満の単位(30分等)は不可
協定がない会社にはこの制度はありません。希望するなら過半数代表者を通じて提案を。
「年5日取得義務」との関係(重要)
2019年から、10日以上付与される労働者に年5日取得させる義務があります(39条7項)。この計算では:
- 半日有休=0.5日として算入
- 時間単位有休=算入されない(時間単位だけでは5日義務を達成できません)
よくある問題
- 遅刻・早退を勝手に半日有休に充当?——時季指定権は労働者にあり、会社の一方的充当は違法です。本人の申請による充当は可能です。
- 半日有休の日の残業:午後半休の日に朝働き夕方呼び戻された場合、実労働8時間以内なら法定割増(25%)は不要ですが、会社規程の所定外割増があり得ます。
- 時間単位への時季変更:時季変更権の行使は可能ですが、「時間単位を日単位に変更」やその逆はできません(行政解釈)。
外国人労働者の方へ
市役所・入管の手続は半日で済むことが多いもの。就業規則に半日・時間単位の制度があるか確認し、なければ1日有休か個別交渉です。制度の有無は会社の裁量ですが、1日単位の有休の請求権は法律上の保障であり、「半日で足りるでしょ」と1日の取得を拒むことはできません。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-06-13)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。