「過労死ライン」月80時間——超えたとき会社に何が起きるか
2026-05-11
5秒でわかる結論
過労死ライン=発症前1か月100時間・2〜6か月平均80時間。電通事件(最二小判平12.3.24民集54巻3号1155頁)が確立した安全配慮義務と、36協定の絶対上限・医師面接指導など会社の予防義務。
過労死ライン——発症前1か月100時間、または2〜6か月平均80時間の時間外労働。脳梗塞・心筋梗塞などの脳・心臓疾患の労災認定の目安です(2021年の認定基準改正で、基準に近い時間外労働+その他の負荷要因による総合認定も明確化されました)。
電通事件——会社の安全配慮義務
最二小判平成12年3月24日(電通事件・民集54巻3号1155頁)は、新入社員が長時間労働の末に自殺した事案で、会社が長時間労働と健康状態の悪化を認識しながら負担軽減の措置を取らなかったことについて賠償責任を認め、本人の性格等を理由とする過失相殺も厳しく制限しました。使用者が労働者の生命・健康に対して負う安全配慮義務(現・労契法5条)を確立した判決です。
法律上の予防義務
- 時間外労働の上限規制:原則月45時間・年360時間。特別条項でも月100時間未満・複数月平均80時間・年720時間が絶対上限(労基法36条)——違反には罰則。
- 労働時間の客観的把握(安衛法66条の8の3)。
- 医師の面接指導:月80時間超+本人の申出で義務(安衛法66条の8)。
- ストレスチェック:50人以上の事業場で年1回義務。
起きてしまったとき会社が負うもの
- 労災保険給付(遺族補償年金等)とは別に、民事の損害賠償(安全配慮義務違反)——過労死・過労自殺では5,000万〜1億円規模になることも珍しくありません。
- 労基署の調査・書類送検・企業名公表。
- 代表者・役員個人の責任(会社法429条)が追及された例もあります。
経営者が今日できること
①全員の実労働時間の把握②月80時間超の者の即時リストアップと負荷軽減③産業医面談の確実な実施④「管理職はカウント外」は誤り——管理監督者も健康管理のための時間把握が必要です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-05-11)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。