従業員が台湾に帰国する——最終給与・退職金の支払と送金、順序を誤ると厄介です
帰国する外国人への最終給与を解説。退職者から請求があれば7日以内に賃金を支払う義務(労基法23条)、海外口座送金の可否と手数料、退職金の20.42%源泉と非居住者の選択課税(所得税法171条)、住民税の一括徴収、脱退一時金の案内、納税管理人の選任まで。
帰国する外国人従業員の最終処理は、順序を誤ると国境をまたぐ厄介事になります。口座を解約したら給与が振り込めない、帰国してしまったら税金が取り戻せない——チェックリストで管理してください。
順序1:最終給与。通常の支払日で足りますが、本人の請求があれば退職後7日以内に支払う義務があります(労基法23条)。最重要なのは、日本の口座の解約前に全支払を完了させること。帰国後の支払は海外送金の手数料・為替差・受取口座確認のコストが全部乗ります。出国日と最終支払日のスケジュールは退職面談で確定を。やむを得ず帰国後払いになる場合は、送金手数料の負担を書面で合意するか、委任状による国内代理人口座の利用を。
順序2:退職金の税。出国後(非居住者化後)に支払う退職金は国内源泉部分に20.42%の源泉徴収がかかり、居住者の退職所得課税(退職所得控除+2分の1課税)よりはるかに重くなります。救済は退職所得の選択課税(所得税法171条):非居住者でも居住者と同様の計算で申告・還付を受けられます(納税管理人が必要)。もっと簡単なのは、出国前(居住者のうち)に退職金を支払って居住者課税を適用させること——スケジュールが組めるならこれが最善です。
順序3:住民税。1月1日〜5月31日退職は残額を最終給与・退職金から一括徴収(義務)。6月1日〜12月31日退職は原則普通徴収切替ですが、帰国者には納付書が届かないため、本人申出による一括徴収か納税管理人の選任のどちらかで処理を。放置は滞納となり、将来の再入国・永住申請に響きます。
順序4:本人への案内リスト(会社の最後のサービス)。①脱退一時金:厚生年金6か月以上で出国後2年以内に請求(源泉20.42%の還付には納税管理人)。②国民健康保険・住民登録の転出届、在留カードの返納(出国時に空港で)。③源泉徴収票の交付(台湾での申告や将来の手続に必要)。④会社側は雇用保険喪失届+外国人雇用状況届出、社会保険の資格喪失届を。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-08-29)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。