復職3か月でまた倒れた——休職期間の「通算条項」の有無で結論が変わる
2026-02-07
5秒でわかる結論
休職期間の通算条項を解説。通算規定がなければ再休職で期間がリセットされる原則、通算対象(同一・類似傷病か傷病を問わないか)と通算期間(6か月か1年か)の制度設計、新設・拡大時の就業規則不利益変更(労契法10条)の合理性、復職判定の厳格化(試し出勤・産業医面談・段階的復帰)こそが根本対策であることまで。
うつ病で10か月休職して復職した従業員が、3か月後にまた欠勤し始めた。休職期間は「新たに丸々付与」か「前回と通算」か。答えは就業規則の通算条項の有無で決まります。
通算条項がなければ期間はリセット
休職期間の長さは会社が就業規則で設計する雇用保障です。通算の定めがなければ、復職が成立した後の再休職は原則として新たな期間が丸々付与され、再発を繰り返す精神疾患では「休職→形式的復職→再休職」の循環で会社の負担が過重になり得ます。
通算条項の典型設計
- 通算対象:「同一または類似の傷病」に限るか、傷病を問わないか。精神疾患は診断名が変わりやすく(うつ病→適応障害等)、「同一傷病」限定は診断名変更で回避されるため、「同一または類似」ないしより広い設計が実務的です。
- 通算期間:復職後何か月以内の再休職を通算するか。6か月とする企業が多い一方、うつ病の再発率の高さ(初発後約5割といわれる)から1年程度とする考え方もあり、法律上6か月に限る根拠はありません。
適用時の注意
- 通算条項の新設・拡大は就業規則の不利益変更の問題となり、労働契約法10条の合理性(必要性・相当性・手続)の検討が必要。休職中の従業員への遡及適用はリスクが高い。
- 現行規定が「同一・類似傷病、6か月以内」なら、その文言どおりにしか適用できない。
- 従業員側は、復職後の通算観察期間内の安定出勤が特に重要。期間経過後は休職期間がリセットされる。
根本対策は復職判定の厳格さ
通算条項は事後の防波堤にすぎません。回復不十分なまま復職させて再発を繰り返すのは双方の消耗です。試し出勤・産業医面談・段階的な復帰計画こそが「復職→再発」の循環を減らす王道です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-02-07)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。