裁判まではしたくない——「民事調停」:費用は訴訟の半分、簡易裁判所で話し合いの解決
2026-10-17
5秒でわかる結論
民事調停は簡易裁判所での話し合いの手続で、手数料は訴訟の約半分。成立した調停調書は確定判決と同一の効力を持ち(民事調停法16条)、強制執行もできます。不成立でも1か月以内の提訴で申立時に訴えたものとみなされます(19条)。向く紛争・向かない紛争を解説。
「相手が30万円を返してくれない。でも裁判は高いし面倒だ」——そんなとき、日本には「自力交渉」と「訴訟」の中間にある制度、民事調停があります。
民事調停とは
- 簡易裁判所(原則として相手方の住所地)に申し立てます(民事調停法3条)。
- 裁判官(または調停官)+民間出身の調停委員2名による調停委員会が、双方の言い分を別々に聞きながら解決案を調整します——公開法廷での対決ではなく、話し合いの場です。
- 手数料は訴訟の約半分:請求額30万円なら、訴訟の印紙代3,000円に対し調停は約1,500円。
- 非公開で行われるため、紛争を大ごとにしたくない場合にも向きます。
最大の利点:調書=確定判決
調停が成立して調書に記載されると、その調書は確定判決と同一の効力を持ちます(民事調停法16条)。相手が履行しなければ、改めて裁判をすることなく強制執行(預金・給料の差押え)を申し立てられます。単なる私製の和解書とは決定的に違う点です。
不成立になったら
- 話がまとまらなければ調停不成立となります。ただし、不成立の通知を受けてから1か月以内に訴えを提起すれば、調停申立ての時に訴えを提起したものとみなされます(民事調停法19条)。時効の面でも、調停申立て自体に時効の完成猶予の効果があります(民法147条1項3号)。
- 裁判所が職権で「調停に代わる決定」(17条決定)を出すこともあります——双方が2週間以内に異議を出さなければ確定し、調停成立と同じ効力です。
調停に向く紛争・向かない紛争
- 向く:貸金返還・売買代金・賃貸借の原状回復・修繕・近隣の騒音・ペットのトラブルなど、金額が大きくない・関係を保ちたい・証拠が十分でない事件。
- 向かない:相手が完全に無視している場合(調停は相手の出席が必要で、欠席が続けば不成立)・財産の緊急保全が必要な事件(民事保全が別にあります)・複雑な法律問題で判決による判断が必要な事件。
申立書には裁判所の定型書式があります。日本語が不自由な場合は弁護士に代理を依頼できるほか、通訳の手配は事前に書記官に相談してください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-10-17)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。