「日本語が下手だから給料が安い」は合法か——言語能力と待遇差の境界線
2025-09-03
5秒でわかる結論
国籍を理由とする賃金差別は労基法3条(均等待遇)違反で罰則付きです。日本語能力は職務に関連する合理的な評価要素にはなりますが、職務と無関係な一律減額や「外国人用賃金表」は3条違反。同一労働同一賃金(パート有期法8条)の視点も解説。
「日本語がまだ不十分だから、月給は日本人より3万円低い」——この一言が合法かどうかは、その日本語と仕事の関連性で決まります。
労基法3条:国籍差別の禁止
「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」(労基法3条)——違反には6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(119条)があり、差別部分の定めは無効・差額請求が可能です。
- 「外国人は一律時給マイナス100円」「外国人用の別賃金表」=直球の3条違反。名目を「日本語手当(日本人のみ支給)」に変えても実質は同じです。
日本語能力評価の合法な範囲
他方、日本語能力を職務上必要な能力として評価することは可能です:
- 接客・電話対応の職位:日本語会話力が業務に直結→能力に応じた待遇差に合理性があります。
- 厨房・製造ライン:業務上高度な日本語をほぼ要しない→日本語を理由とする大幅減額は合理性の説明が困難=実質的な国籍差別と推認されるリスクがあります。
- ポイントは評価基準の明確化・日本人への同様の適用:「コミュニケーション能力」の評価を日本人にも行い、基準・幅が同じであること——外国人にだけ発動する「能力評価」は偽装された差別です。
非正規雇用の視点
有期・パートの外国人と正社員の待遇差には、パート有期労働法8条(不合理な待遇差の禁止)の審査が別途あります——職務内容・変更範囲が同じで賃金だけ違う場合、国籍以前の問題として違法です。
実務アドバイス
- 従業員側:①賃金表・査定基準の開示請求②同職位の日本人同僚の待遇(知り得る範囲で)③「外国人だから」という発言の記録——労基署申告(3条違反は罰則付きのため労基署も動きやすい)・民事請求の両ルートがあります。
- 経営者側:日本語要件は職務記述に書く(この職位にN2相当が必要な理由)・評価過程を文書化。「外国人は安くていい」という設計は、労基署調査・訴訟・SNS時代の評判リスクの三面で脆弱です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-09-03)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。