労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)——概算・確定保険料の仕組みと申告漏れの代償
2025-10-30
5秒でわかる結論
労働保険の年度更新を解説。毎年6月1日〜7月10日に前年度確定保険料の精算+新年度概算保険料の申告・納付、労災保険率は業種別(メリット制で増減)、賃金総額の範囲(賞与・通勤手当を含む)、延納(3期分割)、未申告時の認定決定・追徴金10%・費用徴収まで。
毎年6月に届く緑の封筒「労働保険の年度更新」——社労士に任せて自動処理し、中身を全く知らない経営者は少なくありません。最低限、構造は理解しておくべきです。誤れば追徴金、未手続のまま労災が起きれば給付費用の取立てもあります。
構造:概算→確定の2段階
労働保険料=労災保険料(全額会社負担)+雇用保険料(労使分担)。年度更新(6月1日〜7月10日)では2つのことをします:
- 確定申告:前年度(4月〜3月)に実際に支払った賃金総額×保険率→前年の概算額と精算(過不足調整)。
- 概算申告:新年度の見込み賃金総額×保険率→概算納付。概算額40万円以上(または労働保険事務組合委託)なら3期分割の延納が可能。
保険率
- 労災保険率:業種別(事務系は低く・建設などは高い)。一定規模以上にはメリット制(過去の災害率で±増減)——「労災かくし」の動機の源ですが、隠蔽は犯罪です(安衛法120条5号)。
- 雇用保険率:労使それぞれの負担率が年度ごとに告示で改定されます——当年度の率で計算(率改定の報道は必ず反映)。
賃金総額の範囲(最も間違えやすい所)
- 含む:基本給・残業代・通勤手当(定期券現物を含む)・賞与・各種手当
- 含まない:退職金・結婚祝金などの恩恵的給付・出張旅費の実費・役員報酬(兼務役員の労働者部分は含む)
- 雇用保険の対象外の労働者(週20時間未満など)の賃金:労災の分母には含み・雇用の分母には含まない——2つの分母が違うのが頻出ミスです。
申告漏れ・遅れの代償
- 期限後は政府の認定決定+追徴金10%+延滞金。
- 保険関係成立届すら出していない「未手続事業」:その間に労災が起きれば、給付は行われますが(労働者保護)、会社は費用徴収を受けます(故意=給付額の100%・重過失=40%)——重大労災1件で数千万円級の取立てです。
- 建設業などの現場単位の成立・請負金額基準などの特殊ルールは、必ず社労士に確認を。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-10-30)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。