36協定の特別条項——「忙しいときは無制限に残業できる」はとっくに過去の話。上限と罰則を全解説
2026-08-06
5秒でわかる結論
36協定の特別条項と上限規制を解説。原則月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間・単月100時間未満(休日労働含む)・2〜6か月平均80時間以内・月45時間超は年6回以内という絶対上限、違反の罰則(労基法119条・6か月以下の拘禁刑等)、2024年の猶予業種の終了まで。
「特別条項を結べば繁忙期は自由に残業させられる」——2019年4月(中小企業は2020年4月)以降、これは誤りです。上限は法律上の絶対的なラインになり、超えれば刑事罰の対象です。
上限規制の構造(労基法36条)
- 原則(限度時間):月45時間・年360時間(3か月超の1年単位変形制は月42・年320)。
- 特別条項(臨時的な特別の事情+労使合意がある場合):
- 年720時間以内(時間外労働)
- 単月100時間未満(時間外+休日労働の合計)
- 2〜6か月平均80時間以内(同合計。どの連続する2〜6か月でも満たすこと)
- 月45時間超は年6回(6か月)以内
- 違反は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(119条)——行政指導ではなく刑事罰です。
2024年:猶予期間の終了
建設の事業・自動車運転の業務(トラック・バス・タクシー)・医師の適用猶予は2024年3月末で終了しました(運転者は年960時間などの特則)。「うちは運送業だから上限はない」はもう通りません。
特別条項の書き方のポイント
- 「臨時的な特別の事情」は具体的に:「業務繁忙のとき」「必要なとき」といった恒常的な記載は受理されません——「大規模受注への対応」「システム障害対応」「決算業務」など臨時性のある事由を書く。
- 発動手続(労使の協議・通告など)を明記し、発動のたびに記録を残す。
- 健康福祉確保措置(医師の面接・勤務間インターバル・代償休日など指針のリストから選択)を明記し、実施する。
運用管理の実務
- 月中アラート:80時間・100時間ラインは勤怠システムで自動警告(月末に気づいても手遅れです)。
- 「100時間未満」は休日労働を含みます——休日出勤の多い月が特に危険。
- 複数月平均80時間はローリング計算:単月59時間でも続けばラインに触れる設計に注意。
- 上限超えの労働実態+過労死・精神障害の発病があれば、労災認定(過労死ライン)+安全配慮義務違反の民事責任+刑事立件の三重リスクです。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-08-06)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。