試用期間の評価と記録の付け方——本採用可否を決める3か月の取扱説明書
本採用拒否の勝負は試用期間「中」の記録で決まる。採用時の評価基準文書化→2週間〜1か月ごとの定期面談→問題行動の即日記録→指導と改善追跡→満了1か月前の判断(労基法20条・21条但書、日本オラクル事件・東京地判令和3年11月12日労経速2478号18頁)。延長には就業規則の根拠規定が必要。
本採用拒否の裁判で裁判所が見るのは、ほぼすべて試用期間「中」に何が記録されたかです。満了時になって「理由をどう書くか」を考え始めるのでは遅すぎます。本稿は試用期間3か月(最も多い設定)の取扱説明書です。
開始前:評価基準を先に決める
- 採用通知書・労働条件通知書に試用期間の長さ、評価項目(業務遂行能力・勤怠・協働等)、本採用の判断基準を明記します。
- 中途・経験者採用では「期待する即戦力の水準」を具体的に書き落とします。裁判所は新卒より高い要求水準を認めます。
期間中:定期面談+即日記録
- 2週間〜1か月ごとの定期面談で目標達成状況を確認し、面談内容を書面化して本人に確認させます。
- 問題行動はその日のうちに記録:日付・場面・具体的言動・業務への影響。後日思い出して書いた記録は証明力が大きく落ちます。
- 指導の際は「どこが足りないか・どう直すか・いつまでに」を明確に伝え、メール等で痕跡を残します。
- 指導後の改善状況をその都度追跡記録します——「改善なし」の積み重ねこそが本採用拒否の核心的証拠です。
判断:満了1か月前
入社後14日を超えた解雇には30日予告が適用され(労基法20条・21条但書)、意思表示は試用期間内に確定的に行う必要があります(日本オラクル事件・東京地判令和3年11月12日労経速2478号18頁)。満了1か月前に可否の判断を終えるのが実務のスケジュールです。
迷ったとき:試用期間の延長
「もう少し見たい」という選択肢=試用期間の延長には、就業規則上の延長根拠規定+合理的な理由+本人の同意(または規則所定の手続)が必要です。規定なしに延長すると延長自体が無効と判断され得ます。詳細は当サイト「試用期間の延長」の記事をご覧ください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-09-16)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。