エアコンが壊れたのに大家が直さない——修繕義務と賃料の当然減額
2026-10-24
5秒でわかる結論
賃貸物の使用収益に必要な修繕は、原則として貸主の義務です(民法606条)。2020年改正で、一部滅失等により使用収益できない場合は賃料が「当然に減額」されることが明文化(611条)。借主側・貸主側の実務。
真夏にエアコンが故障、大家・管理会社に連絡してもなかなか直らない——家賃は満額払うのか。自分で修理してよいのか。日本の民法には明確な答えがあります。
修繕義務の分配
- 原則:貸主が修繕義務を負います(民法606条1項)——賃借物の使用収益に必要な修繕。付帯設備(エアコン・給湯器・給排水)の故障が典型です。
- 例外:借主の責めに帰すべき事由による損傷(606条1項ただし書)は貸主の修繕義務の対象外——借主の自己負担です。
- 小修繕特約(電球・パッキン等は借主負担)は一般に有効ですが、大規模修繕まで借主に転嫁する特約は消費者契約法10条等により無効となり得ます。
貸主が直さないとき——借主の手段
- 自力修繕権(民法607条の2):①通知後相当期間内に修繕されない、または②急迫の事情があるときは、借主が自分で修繕でき、費用は必要費として償還請求できます(608条1項)。先に通知し証拠を残すのが鉄則です。
- 賃料の当然減額(611条1項・2020年4月改正):一部滅失その他の事由で一部が使用収益できないときは、賃料はその割合に応じて当然に減額されます——請求を待たず法律上自動的に減る建付けです。エアコン全損の夏場などは、実務上、日管協の減額ガイドライン(設備区分×日数)を参考に計算します。
- 全部が使用収益不能になれば契約は終了します(616条の2)。
貸主側のリスク管理
- 設備故障の放置=賃料減額+(健康被害があれば)損害賠償、最悪は解除のリスク。24時間受付の管理体制は賃貸経営の標準装備です。
- 修繕の要否・帰責の判断は写真・業者報告書で記録化。
- 設備更新の時期管理(エアコン・給湯器は10〜15年)を長期修繕計画に——故障後対応は計画更新より常に高くつきます。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-10-24)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。