日台間に租税条約はない?——「日台民間租税取決め」と二重課税の回避
2025-12-13
5秒でわかる結論
日台間に政府間租税条約はなく、2015年署名の日台民間租税取決め+国内法(外国居住者等所得相互免除法)で二重課税を調整しています(2017年適用開始)。配当・利子・使用料の源泉税率上限10%、短期滞在者免税(183日ルール)。適用には届出書の提出が必要です。
「台湾の会社から配当を受け取ったら、日本と台湾の両方で課税されるのか」「台湾本社から日本に90日出向したら、給料はどちらで納税するのか」——日台間の二重課税問題には、独特の解決枠組みがあります。
なぜ「民間取決め」なのか
- 日本と台湾には外交関係がないため、政府間の租税条約を締結できません。
- その代わりに、2015年11月26日、公益財団法人交流協会(現・日本台湾交流協会)と亜東関係協会(現・台湾日本関係協会)が日台民間租税取決めに署名し、日本は国内法(外国居住者等所得相互免除法などの整備)で実質的な効力を与えました。2017年1月1日から適用されています。内容はおおむねOECDモデル租税条約に準じます。
主な内容
- 配当・利子・使用料(ロイヤルティ):源泉地での税率上限10%——日本の国内法の源泉税率(配当20.42%など)が軽減されます。
- 短期滞在者免税(183日ルール):台湾居住者の日本での勤務報酬は、①任意の12か月の期間における滞在合計183日以内、②報酬が日本の居住者でない雇用者から支払われる、③日本のPEに負担されない——の三要件をすべて満たせば日本で免税です。台湾本社からの短期出向者に重要な規定です。
- 事業所得:日本にPE(恒久的施設——支店・工場など)がなければ日本では課税されません(「PEなければ課税なし」)。
- 双方居住者の振り分け:日台双方で居住者と認定された場合、恒久的住居→利害関係の中心→常用の住居→相互協議の順で単一の居住地を決めます。
実務上の注意
- 適用は自動ではありません:源泉税率の上限・免税を受けるには、支払者経由で税務署に届出書(外国居住者等所得相互免除法に基づく書式)を提出する必要があります。提出がなければ国内法の税率で源泉徴収され、後から還付請求をするしかありません。
- それでも二重課税が生じる場合:日本の居住者は台湾で納めた税を外国税額控除(所得税法95条)で差し引けます。
- 台湾側にも対応する国内法化がありますが、適用要件・用語は日本側と完全には対称ではありません。両国の申告は、日台双方に通じた税理士・会計士に確認してもらうのが安全です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-12-13)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。