更衣室に小型カメラが仕掛けられていた——職場の性犯罪:撮影罪・不同意わいせつと会社の義務
職場の性犯罪を解説。性的姿態撮影等処罰法(2023年7月13日施行・撮影罪3年以下拘禁刑または300万円以下罰金・提供保管拡散も処罰)、不同意わいせつ罪(刑法176条・6月以上10年以下拘禁刑・地位関係性利用の明文化)、建造物侵入罪(刑法130条)、被害者保護最優先・警察対応を妨げない・証拠保全・判決を待たない懲戒、セクハラ措置義務(均等法11条)まで。
更衣室でカメラが見つかった。飲み会で部下への強引な身体接触があった。職場の性犯罪は「ハラスメント」の語で収まる話ではなく刑事事件であり、会社の対応義務は通常のハラスメントより重くなります。
2023年から全国一律の「撮影罪」
盗撮はかつて各都道府県の迷惑防止条例頼みでしたが、2023年7月13日施行の性的姿態撮影等処罰法が撮影罪を創設しました。同意なく性的な姿(下着・着替え等)を撮影すれば3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。画像の提供・保管・拡散も各々処罰され、更衣室・トイレへの設置は建造物侵入罪(刑法130条)にもなり得ます。
強引な身体接触は不同意わいせつ罪
同じ2023年7月13日施行の刑法改正で強制わいせつ罪は不同意わいせつ罪(刑法176条・6月以上10年以下の拘禁刑)となり、地位関係性を利用して拒絶困難にさせた場合が明文化されました。上司と部下、正社員とアルバイトといった力関係の下での行為はまさに改正の狙いです。
会社の義務——通常のハラスメントより重い対応
- 被害者保護最優先:直ちに分離(原則加害側を動かす)、二次被害防止(繰り返しの聴取や情報漏れを避ける)。
- 警察対応を妨げない:通報・告訴は被害者の選択。「社内で収めよう」という説得は二次加害であり隠蔽の構図になる。
- 証拠保全:カメラ本体・映像・設置状況の写真。加害者に触れさせない。
- 懲戒:懲戒解雇級の事由となり得るが、本人聴取・弁明機会の手続は必要。刑事手続と並行して自宅待機等の暫定措置を取り、社内調査で認定できれば判決を待たず処分できる。
- 措置義務:セクハラ措置義務(男女雇用機会均等法11条)上、相談体制と事後の迅速適切な対応が求められ、放置は会社固有の責任を生む。
予防
更衣室・休憩室の定期点検、懇親会のルール、相談窓口の実効化。「うちに限ってない」が最大のリスクです。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-02-21)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。