社長の給料は自由に変えられない——役員報酬の「定期同額給与」ルール
2026-06-18
5秒でわかる結論
役員給与を損金にできるのは定期同額給与・事前確定届出給与など限定された類型だけです(法人税法34条)。期中の増額や役員賞与は損金不算入に。改定は事業年度開始から3か月以内に株主総会決議で(会社法361条)。経営管理ビザの報酬設定の注意点も解説。
自分で会社を作った台湾人経営者がよくやる失敗——「今月は儲かったから自分にボーナスを出そう」「生活費が足りないから来月から給料を上げよう」。日本の法人税制では、これらの操作は会社の税負担を直接増やします。
原則:損金になる役員給与は三種類だけ
法人税法34条1項により、役員給与は原則損金不算入で、例外的に損金にできるのは次の三つです。
- 定期同額給与:支給時期が1か月以下の一定期間ごとで、事業年度の各支給時期における支給額が同額——つまり「毎月の固定給」です。
- 事前確定届出給与:届出期限(原則として株主総会決議日から1か月以内など)までに「何月何日にいくら支払う」と税務署に届け出て、届出どおりに完全に実行するもの——役員の「賞与」に使います。日付・金額が少しでも違うと全額損金不算入です。
- 業績連動給与(上場企業等の厳格な要件があり、中小企業ではまず使えません)。
改定のルール
- 原則として事業年度開始日から3か月以内の改定だけが認められます(通常改定)——定時株主総会の決議に合わせます(役員報酬の決定は株主総会の権限です・会社法361条1項。実務では総会で総額を定め、取締役会や取締役の協議で各人の額を決めます)。
- 期中の改定は、職制上の地位の重大な変更など(臨時改定事由)、経営状況の著しい悪化(業績悪化改定事由)による減額などに限られます——「苦しければ下げ、儲かれば上げる」という恣意的な変動は認められず、増額改定部分や減額前との差額が損金不算入になります。
- 決議は株主総会議事録に残すこと——税務調査で必ず見られます。一人会社でも議事録は作成してください。
経営・管理ビザの経営者の追加の注意
- 自分の役員報酬を低く設定しすぎる(月10万円など)と、入管審査で「経営者本人の生計維持」を疑われ、更新時に不利です。高すぎて赤字が続くのもマイナス材料です。
- 役員報酬を支給すると、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務になります——法人の代表者は一人だけの会社でも加入が必要です。報酬月額で保険料が決まり、改定したら月額変更届を出します。
- 完全な無報酬だと社会保険には加入できず、国民健康保険・国民年金での対応になります——ビザ審査でも「生活費はどこから」と問われ得ます。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-06-18)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。