役員と従業員の違い——委任と雇用の分界線
2025-11-07
5秒でわかる結論
役員と従業員の法的な違いを解説。委任(会社法330条)と雇用の差(解雇規制・労働時間・残業代・労災・雇用保険の適用有無)、役員報酬の変更ルール(会社法361条)、使用人兼務役員の二重の地位、「名ばかり役員」の労働者性判断、役員の対第三者責任(会社法429条)まで。
取締役は委任関係(会社法330条・民法643条)、従業員は雇用関係であり、法的保護が根本的に異なります。
基本構造
- 役員は株主総会でいつでも解任でき(会社法339条1項)、解雇権濫用法理の保護はありません。報酬は定款または株主総会決議事項です(会社法361条)。残業代・年休・労災保険(特別加入で補完可)・雇用保険もありません。他方、報酬のある常勤役員は社会保険(健康保険・厚生年金)には加入します。
中間形態
- 使用人兼務役員(取締役部長等)は従業員部分に労働法の保護が残り、雇用保険にも入れます。執行役員は名称に反して法的には通常従業員です。登記上は取締役でも指揮監督下で働く「名ばかり役員」は労働者性の実質判断を受け、実態が従業員なら解雇規制・残業代が及びます。
昇格時の実務
- 従業員から役員への就任時は、①労働契約終了の明確化(退職金精算の書面化)②雇用保険の資格喪失③委任契約書と報酬決議④就任登記を揃えるべきです。残業代回避目的で店長を一律「取締役」登記する手法は、実態判断で崩れるうえ、役員の対第三者責任(会社法429条)を負わせる点でかえって危険です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-11-07)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。