有休の買取りは許されるか——原則違法・例外は3つ
2025-09-05
5秒でわかる結論
有休の買取りは原則違法(労基法39条)。適法なのは①退職時の残日数②時効消滅分③法定を超える会社独自の有休、の3つだけ。買取りは年5日の時季指定義務の代わりになりません。
「人手不足で休ませられないなら金銭で解決したい」——年次有給休暇の買上げは、日本法では原則違法・例外的に適法です。方向を間違えると労基法違反になります。
なぜ原則違法か
年休は労基法39条が保障する権利で、目的は現実に労働者を休ませることにあります。事前に「有休は買い上げ、実際には与えない」と約束することは休暇権を金銭で奪うもので、39条違反として行政解釈上明確に否定されています(違反には労基法119条の罰則)。「どうせ買い取るから」と取得を拒めば当然違法です。
適法な3つの例外
- 退職時に残った有休:退職により権利が消滅するため、買取りは休暇目的を害しません。退職日確定後の任意の買上げは適法です(義務ではありません)。
- 時効消滅した有休:年休は2年で時効消滅します(労基法115条)。消滅分への慰労金的な支払は適法です。
- 法定日数を超える会社独自の有休:法定は勤続6年半以上で年20日。就業規則で25日与えているなら、超過5日分の買取りは自由です。
買取価格の決め方
例外的買取りの単価に法定の計算方法はなく、就業規則・労使の合意で決めます。基本給の日割りなどが一般的です。退職時の買取金の税務上の取扱い(退職所得か給与所得か)は税理士に確認してください。
経営者の正しい対応
- 買取りは年5日の時季指定義務(労基法39条7項)の代わりになりません——違反は30万円以下の罰金です。
- 消化率が低い根本原因(人員・業務量)の解消こそが本筋です。
- 退職時の買取りは円満退職の交渉材料になりますが、従業員が「全部消化してから辞める」と言えば会社は止められません。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-09-05)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。