譲渡制限株式と相続——売渡請求条項の設計と逆用リスク
2025-09-04
5秒でわかる結論
譲渡制限株式と相続を解説。譲渡承認制度が一般承継たる相続に及ばないこと、定款の相続人等売渡請求(会社法174条)、行使ごとの特別決議(当該相続人は議決権なし=175条2項)・1年の行使期間(176条1項)・財源規制(461条)、大株主死亡時に少数派が後継者の株式を奪う「相続クーデター」と遺言・生前譲渡による対策まで。
譲渡制限株式の承認機構(会社法136条以下)は譲渡(売買・贈与)に適用され、相続等の一般承継には及びません。株主死亡により株式は相続人に自動的に承継され、経営に関与しない相続人や対立親族への分散が生じます。
相続人等に対する売渡請求(174条)
- 定款に定めれば、会社は相続人の同意なく株式の売渡しを請求できます。手続は①行使ごとの株主総会特別決議(当該相続人は議決権を行使できません——175条2項)②相続を知った日から1年以内の行使(176条1項)③価格は協議または裁判所の決定(177条)。取得対価は分配可能額の範囲内に限られ(461条の財源規制)、経営者保険による財源準備が定石です。
「相続クーデター」への警戒
- 大株主(社長)の死亡時には、後継者たる相続人が議決権を持たないまま残りの少数株主が売渡請求を決議し、後継者の株式を奪う逆用が可能です。遺言・生前譲渡(譲渡なら承認手続を経るため174条が発動しません)や株主間契約の併用など、株主構成に応じた個別設計が必要です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-09-04)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。