家族が仕事で亡くなった——遺族(補償)年金・一時金・葬祭料、遺された家族が受け取れるもの
2026-04-05
5秒でわかる結論
労災の遺族(補償)給付を解説。受給資格者の順位(配偶者は最優先・内縁も含む)、遺族年金と遺族一時金、葬祭料、海外に住む遺族も受給できること、会社への損害賠償請求との関係、時効(年金5年・葬祭料2年)まで。
最も悲痛な場面にこそ制度の知識が必要です。業務災害・通勤災害で労働者が亡くなったときの労災給付の全体像です。
給付の種類
- 遺族(補償)等年金(労災保険法16条の2以下):遺族1人=給付基礎日額153日分/年(55歳以上の妻等は175日分)、2人=201日分、3人=223日分、4人以上=245日分。
- 遺族特別支給金:一律300万円(一時金)。
- 遺族特別年金:賞与ベースの上乗せ。
- 葬祭料(葬祭給付):315,000円+給付基礎日額30日分(または日額60日分の高い方)。
- 年金受給資格者がいない場合:遺族(補償)一時金=給付基礎日額1,000日分(+特別支給金300万円)。
受給資格者の順位
死亡当時その収入で生計を維持されていた、①妻(または60歳以上か障害のある夫)②子(18歳年度末まで、または障害)③父母(60歳以上か障害)④孫⑤祖父母⑥兄弟姉妹——の最先順位者が受給します(16条の2・16条の4)。妻に年齢要件はない一方、夫・父母等には年齢(60歳。55〜59歳は支給停止付き)・障害の要件があります。内縁の配偶者も「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として対象です(16条の2第1項括弧書)。
外国人遺族——海外居住でも受給できる
- 労災保険は在留資格・国籍を問わず適用され、遺族が本国(台湾等)に居住していても受給可能です。生計維持関係の立証(送金記録・通帳・家族関係証明)が鍵になります——日頃の送金記録は保管を。
- 必要書類:死亡診断書、戸籍(台湾の戸籍謄本等+日本語訳)、生計維持の資料。
- 年金は海外口座への送金も可能です。手続は管轄労基署へ(領事館・支援団体の協力も)。
時効と手続
- 遺族(補償)給付・葬祭料の時効:死亡日の翌日から5年(労災保険法42条)。
- 様式第12号等を労基署へ。会社が証明を拒否しても申請できます。
- 過労死・過労自殺も対象:脳・心臓疾患(令和3年認定基準)・精神障害(令和5年認定基準)の業務起因性が認められれば遺族給付の対象です。認定のハードルは高く、弁護士・過労死弁護団への相談を強く勧めます。
民事賠償は別枠
労災給付に慰謝料は含まれません。死亡慰謝料(裁判基準で2,000〜2,800万円程度)と給付で足りない逸失利益は、会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条)等を根拠に民事請求します。「労災が出たから終わり」ではありません。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-04-05)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。