採用面接で「聞いてはいけない質問」——本籍・家族・宗教・結婚出産の予定は、聞いた時点でリスク
2026-08-19
5秒でわかる結論
採用面接で聞いてはいけない質問を解説。採用の自由(三菱樹脂事件・最大判昭48.12.12民集27巻11号1536頁)の限界、職安法5条の5の収集制限と公正採用選考(本籍・家族・思想信条・支持政党等)、均等法5条(婚姻・出産予定の質問)、行政指導・企業名公表リスクと面接官教育まで。
「ご実家はどちら?」「お父様のお仕事は?」「結婚の予定は?」——台湾の面接では世間話でも、日本では労働局の指導やネット炎上につながる地雷です。
採用の自由とその限界
三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁)は、企業に原則として採用の自由(誰をどんな条件で雇うか)を認めました。しかしどんな情報を収集するかは別問題です。職業安定法5条の5は求職者の個人情報の収集を「業務の目的の達成に必要な範囲内」に限定し、厚労省の指針と「公正採用選考」の行政運用が収集してはならない事項を具体的に挙げています。
聞いてはいけない典型(公正採用選考)
- 本籍・出生地(戸籍謄本の提出を求めることも不可)
- 家族の職業・収入・資産・学歴、住宅状況・生活環境
- 思想信条:宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、購読新聞・愛読書(思想調査の色彩)、労働運動・学生運動・社会運動の経歴
- 女性に対する結婚・出産の予定、結婚後も働き続けるか——性差別(男女雇用機会均等法5条と指針)
- 健康情報:業務への適性と無関係な病歴・HIV等の機微情報の収集は原則不可(必要な場合も必要な範囲+本人同意)
違反の帰結
- 労働局・ハローワークの行政指導。職安法違反には勧告・企業名公表の制度(職安法48条の3)
- 求職者が面接後にSNSで「こんなことを聞かれた」と公開——炎上と採用ブランドの毀損が実務上最も早く現れる損害です
- 回答を理由とする不採用が、就職差別・均等法違反と評価されるリスク
経営者側の設計
- 面接の質問項目を事前に標準化:職務能力・経験・志望動機など適性に直結する事項だけを聞く。
- 「夜勤・転勤に対応できるか」を確認したいなら、男女に同じ聞き方で勤務条件の可否を聞き、家族計画は聞かない。
- 面接官教育:禁止質問リストを面接に関わる全員(現場の管理職を含む)に配布。
- 応募書類の保管・廃棄ルールの整備(個人情報保護法)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-08-19)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。